私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! [コメディ]
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1) (ガンガンコミックスONLINE)
- 作者: 谷川 ニコ
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2012/01/21
- メディア: コミック
あんな奴らと群れるくらいならぼっちでいいし!
女子高生… それは人生で一番モテる時期!
何もしなくても男どもが寄ってきてフラグが立ち性が乱れる3年間―
黒木智子はこの春からこの身に訪れる青い春の予感に心躍らせていた。
中学時代には3年間で6回男子に話しかけられた経験を持ち、乙女ゲーム内では100人の男どもと付き合って女子高生としてのシミュレーションに抜かりはない!と嘯く彼女。
そして期待に胸膨らませて女子高生生活を迎えた彼女はある日、周囲がグループを形成していくなか、今だ一人で昼の弁当をかこむ自分に違和感を持つに至る。
(おかしいな… 女子高生だが 二ヶ月近く高校生と会話していないぞ?)
嗚呼それは… 無意識に目をそむけていた自身の客観的な姿を否応無く突きつけられた瞬間。
そう彼女は、まごうことなき「喪女」なのであった…
ガンガンオンラインで連載。
発売日から日が経ってしまいましたがこのマンガ、初刷はあっという間に売切れてしまって結構手に入るまで時間かかってしまいました。出版社の予想以上に人気があったみたいです(;´▽`A``
で、このお話はいわゆる 「自分の世界に引きこもりがちな主人公が『普通の人』とうまくコミュニケーションを取れずに空回りする姿を描くコメディ」です。一読して福満しげゆきさんの「僕の小規模な失敗」を少年誌で描くとこんな感じなのかなあ?という印象を受けました。目の下にクマがあるし。
中学時代にほとんど友達がいなく、男子と話した回数すら数えるほどというヒロインの黒木さん。
JKになれば自分には自然と男どもが寄って来てモテモテになれる、という案に相違して、2ヶ月近くたっても自分はぼっちのまま… いつの間にか周囲には友達の輪ができており、一緒に遊んだ話題で盛り上がっている。それを一人、教室で寝たフリしながらやり過ごしながら「あんなバカなやつらの輪に入るくらいならぼっちでいいし」とか思っちゃう。いやあ、ええなんていうか…ありきたりな言い方ですが共感できるんですよね。
自身の顔をじぃっと鏡で観ると、なんとゲシュタルト崩壊して嘔吐してしまうレベルの彼女。イメチェンで高校デビューをはかるも家で不意に鉢合わせた弟に「うわっ!?すげーブス!!?」と言われてしまう空廻りっぷり。自分の姿を鏡で見慣れていないから、どこをどうすれば可愛くなるか分からないとか…私も「いつも同じ髪型してますね」って職場の同僚の女性に言われたことがあったりなんかして、思い出すと今すぐどこかへ行きたくなります。(;´▽`A``
家族とかには自然と話せるのにコンビニの店員との簡単なやりとりすら満足にできない自己嫌悪に苛まれたり、逆に帰り際に先生に挨拶されてへどもどしながらもなんとか挨拶を返せた後満面の笑みで「アイス買って帰るーー!!」と駆け出す彼女の姿が…自分の過去の思ひ出を強烈にノックしてきてうひゃーー!ってなりますw
今ではこのような「他人とうまくコミュニケーションがとれないことがコンプレックス」な主人公ものの作品はそれほど珍しくはありません。しかし「ぼっちな自分に可愛い彼女(カレシ)が!?」みたいなシンデレラストーリー的な流れになって、何かのきっかけで「主人公は実はきちんとオシャレすれば可愛い」みたいなカンジで早々にコンプレックスとおさらばしてしまうことが多く、そこがなんというか読んでいて「こんなこと自分にもあるといいな~」みたいな、途端にリアリティをなくしてファンタジーになってしまうのが不満と言うほどじゃないけど仕方ないのかなと思っていました。しかしこの作品がそれらと一線を画していて面白いなと思える点は、周囲から「物好き」といわれるようなイケメンに目を着けられることもなく、イメチェンしようとすれば逆にキモがられ、そして基本的に「ぼっち」である点にあります。
話は彼女のモノローグをメインに進行し、他人との簡単な会話ができずに後で懊悩する姿や、周囲で楽しそうに会話するクラスメートに「すっぱいぶどう」のエピソードよろしく心の中で毒づく姿、そして究めつけは別の高校に進学した、中学時代に唯一気を許せる親友だった女の子が、久しぶりに会ったら異様に可愛くなっていたことに衝撃を受ける、なんていうのも… ついでに親友に「かわらないね~」とか嫌味なくさらっといわれちゃったりしてうわ~…!自分と仲良かった友人がいつの間にか「あっち」の世界の人になってしまったと感じた黒木さんの衝撃はいかばかりか…でも親友は中学時代と変わらず黒木さんに優しくて、なんていうかだからこそこの「取り残され感」が凄いんですよ。
でも、でもですよ。このお話は黒木さんの空回りと勘違い、コンプレックスを感じる姿を単純に笑いの種にしているだけでもないんです。中には彼女が他人に何気なく優しくしてもらっていたりするエピソードがあったりするんですよ。しかも彼女が気づかないくらいさり気なく。それが黒木さんの内面が変わる大きなきっかけになるなら他の作品と同じ感じになってしまいますが、その程度の救いだからこそ、それまでの流れを壊してしまうことなくそのエピソードが素直に受け容れられるのです。いやあいい、イイですよ~
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