魔女 [ファンタジー]
あなた達の世界は“有限” わたし達の世界は“無限”
あなた達の言葉は、ありとあらゆる可能性を特定の性質に切り分けるナイフ
自分達の都合のいいように世界を刻む道具
わたし達は世界をあるがままに見る
わたし達は言葉を知りながらそれを棄てることができる者
「全身をすましたとき、目や腕や内臓全部。『想い』や『心』がうけとめるの。世界のうたう『うた』を…」
魔女―
それは世界をあるがまま、全身を通して『視る』者たち。
目で視、口で視、鼻で視、耳で視、手で視る。
言葉でよろい、機械で見る者が削ぎ落としてしまった存在を『視る』者たち。
彼女たちの瞳に魔女が宿るとき、世界は、その本来の姿をさらけ出す―
水域 [ファンタジー]
…けど もしも わしらの子の魂がこの水の底にいるのなら
どうかその子だけはお守りください
泥水に埋もれぬよう…お守りください
突き刺すような日照りだった―
毎年猛暑猛暑というけれど、この夏はまだ雨の一滴も降ってはいなかった。
水源であるダムは干上がり、だから水泳部のハズの千波たちは
給水制限で水の無いプールを横目に、まるで陸にあげられた魚のようにあえぎながら
校庭を走るハメになっていた。
「…こんなことをするために水泳部入ったんじゃないのになあ~~」
半ばヤケになって走る千波。その時―不意に身体の 平衡が 崩 れ た
(―あれ?)
頬にかかる雫で目が覚める。
しかしそこは、さっきまで自分が走っていた校庭ではなく、
傍で豊かな水流をたたえ、滔滔と流れるどこかの山間の河原だった。
空は厚く雲が垂れ込め、糸を引くようなか細い雨が、千波の全身をうっすらと湿らせる。
河原の向うの高台に、藁葺き屋根の古びた民家が点々と見えていた。
「誰…?」
不意に水の中から現れた少年に、声をかけられた千波は飛び上がった。
それは中学3年の自分よりもずっと年下に見える、
腕白そうだがどこか寂しげな雰囲気をたたえた少年だった―
青血のハグルマ [ファンタジー]
僕は木林(キリン)をっ… こんな事をするために作ったんじゃない!!
「僕は、人殺しの道具を作っていたのですか? 父上…」
昏い瞳。
少年は薄幕の向うに座す、青き血の王に問うた。
『断じて奴らを、人などと呼ぶな!!』
刹那、王から返ってきた雷鳴に似た怒声に、一瞬で少年の心は縮こまる。
しかしここで引くわけにはいかなかった。
今まで自分が父王に言われるまま無邪気に創りつづけてきたあの機械が…
戦火の復興を手助けする力となるハズだった、僕の人型の「ハグルマ」が―
父王が「非族」と呼び、「欲にまみれた獣以下の存在」と蛇蝎の如く忌み嫌う「赤き血の一族」を
虫けらのように殺す道具と成り果てているのを、彼は非難せずにはいられなかった。
「でも 僕には…とてもっ…そうは見えなかった…!!」
非道で非情なはずの赤き血の一族…
だが、彼が昨夜出会った赤き血の少女は、「ハグルマ」に兄をゴミのように殺され、
その亡骸(なきがら)にすがって慟哭する自分と同じ「人間」だったのだ―!
秘身譚 [ファンタジー]
ききみみ図鑑 [ファンタジー]
ウィッチクラフトワークス [ファンタジー]
どうしてこんな事になったのかわからない 突然襲われ 突然助けられた―
気がつくと僕はお姫様だっこをされていた―
僕を抱き上げているのはクラスメートで、なぜか魔女がするそれに良く似た黒いとんがり帽子と、
昼間なのに闇が溶け出したかと思えるような、漆黒のマントを羽織っている
火々里綾火(かがりあやか)さん。
彼女は均整の取れたモデルのような体型とクールなルックスの持ち主で、
校内にファンクラブが存在するほどの有名人だ。ついでに言うと親がこの学校の理事長らしい。
教室では机が隣り合わせではあるものの、互いに積極的に話をすることは無く、
専ら休み時間などは彼女のファンが取り巻いて、
むしろ僕は近くで窮屈な思いを余儀なくされているほどだ。
「暴れると落ちるわよ」
我に返り火々里さんの言葉に思わず下を見ると、彼女は校舎の最上階ほどの高さに浮かぶ
空飛ぶ箒の上に器用に立っていた。
「!?」
目も眩むような高さから見下ろすと、そこには先ほど突然僕の頭上に降ってきた
校舎の時計台だったものの残骸が、猛烈な煙を舞い上げている。
「たっ たっ 大変なことになってるよ中庭っ」
信じがたい光景に、僕はすっかり取り乱し思わず彼女に抱きついてしまう。
「ごっごめん!」 涼しい顔の彼女に抱え上げられながら、こんな状況なので離れることもできず、
僕は目の前の彼女からほんのり香る良い香りに内心どぎまぎしながら
続いて上空から現れた、まるで甲冑を着た兎のような風体の「敵」から
ひたすら守られることになるのだった―
少女椿 [ファンタジー]
キルミンずぅ [ファンタジー]
キルミン!
御子神リコは元気ありあまっている系小学5年生!
双子の妹のリム、姉のナギサ、それにパパとママ、
あとペットの亀のドクトルでいつも仲良く暮らしています!
ある日亡くなったおじいちゃんの部屋で、偶然見つけたコンパクト。
コンパクトから聞こえた声の通りに「キルミン!」と唱えたら
突然体がちっちゃくなって、猫の着ぐるみみたいな姿に!?
…というわけで 今宵は2009年10月~2010年9月までTVアニメで放映された
「あにゃまる探偵キルミンずぅ」のコミカライズ版をご紹介します!